ケース・スタディ・ハウスは、ミッドセンチュリーの時代に創刊された雑誌『アーツ&アーキテクチャー』誌上で展開された人気企画であった。
『アーツ&アーキテクチャー』誌は、一握りの専門家だけのものだった建築を、家具やインテリアデザイン、そしてアートとも同じ土俵に上げた画期的な雑誌。
ケース・スタディ・ハウスは、当時の新進気鋭のアメリカの建築家にモダン住宅のプロトタイプとなる実験住宅を建てさせるという試みだった。
『アーツ&アーキテクチャ-』誌の編集長ジョン・エンテンザの呼びかけによって始められた、アメリカ建築史に最も貢献度が高いといわれる建設プロジェクトともいえる。
大戦後の住宅供給不足の状況から来るべき建設ブームを予感したエンテンザは、低コストで大量生産(鋼やガラスの構成要素を組みたてるだけ)の建材を用いた複製可能な近代住宅のプロトタイプの制作を、最も活力のみなぎる世代の建築家に呼びかけた。この箱型建築計画は住宅建築に近代デザインを持ち込むことによって、旧態依然であった建築業者と一般の生活者の意識を一新したいという、彼の大望の縮図だったともいえる。
当時のロサンジェルスは、戦争の終わりと共に、建築ラッシュとなっていたこともあり、この計画は大ヒットしたのである。
36棟が計画され、実現したケース・スタディ・ハウスは26軒。ロサンジェルスに現存しているのは20件だという。名称は「CSH#1~26」というように記号で表記された。
有名な、イームズによるCSH#8は1948年に建設された。軽やかでカラフルな外観は世界中を驚かせた。
ノイトラが建てたCSH#20は、実は木造住宅であった。イームズやコーニックなどの斬新な鉄骨構造が注目されがちだったが、ノイトラは木の構造で勝負したのである。この#20を最高傑作とする意見も数多い。
約50年を経た現在、当時の人々の夢とあこがれの的だったケース・スタディ・ハウスは、21世紀を迎えた現代でも十分通用するアイデアに満ちている。
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